インタビュー

ビジョンを作り直した理由——「現地就職支援」から「誰もが世界とつながれる社会へ」

ヒアリングを重ねるうち、当初のビジョンの曖昧さに気づいた。経済的・心理的な壁を抱える日本人・外国人双方の課題と向き合い、Red Lookが辿り着いたビジョンとミッションの背景を語る。

文:NPO法人 Red Look公開:
目次

第2回:NPO法人を立ち上げてここまでを振り返って

「現地就職支援」から「誰もが世界とつながれる社会へ」——ビジョンを作り直した、その理由とは。


内容の濃い半年間——電話営業、飛び込み市役所訪問、海外からのスポンサー対応まで

取材者: 実際に立ち上げてみて、これまでどうでしたか?

Eric: 本当に内容の濃い半年だったと思います。組織にとっても、私のキャリア・人生においても。インターン採用活動、大学や専門学校への訪問、他県の市役所に国際キャリアに関してヒアリングするために飛び込みで訪問、電話営業、地元の商工会議所への所属、登壇、海外からスポンサー候補の対応など。法人口座の開設からその他必要ツールの契約などは1ヶ月で全て終わらせましたね

取材者: 行動力が凄いですね(笑)。団体にとって一番大きな出来事を1つ挙げるとすると何ですか?


「どこに向かっているのか」が曖昧だと、組織はバラバラになる

Eric: ビジョンとミッションの設定だと思います。テックコミュニティからNPO法人を設立したこともあり、設立当初は社会的な問題・課題を明確に考えられていませんでした。スローガンの「Making World Connection With Skills」——「現地就職には語学力を補うスキルが必要、スキルで人脈が広がる」という思いは今も変わりませんが、「この活動を通して我々はどこに向かっているのか」が曖昧だと、チーム=組織がバラバラになってしまう。これはコミュニティ運営でもそうでした

取材者: 「現地就職支援」という方向性も悪くはないように聞こえますが?

Eric: 自分でも悪くはないと思っています。ただ、色んな場所でヒアリングしていくにつれて、「経済的に海外渡航が厳しい」「能力的に外資系への就職が難しい」「そもそも海外が怖い」という声が多く、「現地就職をしたい!」という層はなかなかいなかった。外国人の方は日本で就職したい人が半数以上いたものの、「日本企業で働いたら労働が厳しい」「観光はいいけど、生活となると…」という意見もやや多くあり、「日本を好きになってもらいたい=国際的に良い経験を築いて欲しい」という気持ちの方が自分的には強くなっていきました


ヒアリングを重ねて見えてきた、解決すべき社会課題

取材者: 社会課題として、具体的にはどのような内容が?

Eric: 日本人側としては、高校生・大学生が留学を断念する理由の第一位が経済的理由であること(※文部科学省・日本学生支援機構「トビタテ!留学JAPAN」海外留学に関する意識調査・2024年2月)、そして英語力の低迷に伴い、中小企業の海外展開が難しい点(出典:中小企業庁「中小企業白書」・2024年版)。若手社会人も同様の課題を抱えています

外国人側は、日本語要件が高く、高いスキルを持っているにもかかわらず就職が難しい点や、孤独を感じることによる早期退職・帰国に繋がってしまう点があります(経済産業省「高度外国人材研究会」報告書・2024年7月26日)。こうした課題を解決していきたい


「誰もが、自分らしい形で世界とつながれる社会へ」——ビジョン誕生の背景

取材者: そういった背景があって今のビジョンができた、と。

Eric: はい。年齢や人種を問わず、「少し海外のことを知りたい」という興味層から「絶対に国際的に活躍したい」という明確層まで、幅広く支援していく。「海外(日本)のことならまずRed Look!」と言われるような、一人一人のご経験・ご意見・マインドに寄り添った団体を目指しています。ミッションは、日本人・外国人双方の国際キャリア形成支援、そして拠点とする神奈川県相模原市での国際的な視点からの地域活性化。役員・スタッフや、経営者・中小企業診断士の方々と対話しながら明確にしていきました。

取材者: 「誰もが」という対象はかなり幅広い気もしますが。

Eric: そうですね。ただ幅広い方を対象とすることで、日本人の国際力(国際的に活躍・対応できる能力)と、外国人の日本理解力(外国人が日本で生活するための能力)の底上げに繋がる。それぞれのレベル感が違うので、一人一人に合わせていきたいですね。

取材者: あと気づいたのは、現地就職の路線は外れたものの、キャリアに結びつける点は変わらないんですね。

Eric: 鋭いですね(笑)。良いご質問ありがとうございます。海外に滞在する上で生活基盤を維持できる収益がないと厳しいですし、海外には渡航せずとも、英語を学びながら将来日本国内で働けたらと思っている人も多い。地域活性化の観点からも、地元での雇用なくして「本当の地域活性化」はできないと思っています。観光業で賑わいすぎれば「オーバーツーリズム」になりますし、単純に受け入れれば良いわけではない。国と市民と外国人の関係、この絶妙なバランスを保つことも我々NPO法人の役目かなと思っています。


Red Lookの強み——異文化・国際経験豊富なスタッフが揃う理由

取材者: 最後に、Red Lookのスタッフの強みはなんでしょうか?

Eric: 間違いなく、異文化理解・国際経験豊富で、かつ皆それぞれの本業でも最前線で活躍しているスタッフが所属している点ですね。渡航先で苦労した経験や、成功するために行うべきこと、移民として直面する課題に寄り添えるスタッフが在籍しています。そして、スタッフには「皆も必ず海外に挑戦する人でいてください」と話しています。海外経験のないスタッフも、DuolingoやMeetupで国際的なイベントに参加するなど、Red Lookの良い影響を受けながら日々頑張っています。


【第2回 まとめ】 設立当初は「現地就職支援」という方向性でスタートしたRed Lookだが、各地でのヒアリングを重ねる中で社会課題と真剣に向き合い、ビジョン・ミッションを再設計。「誰もが、自分らしい形で世界とつながれる社会へ」というビジョンは、経済的・能力的・心理的な壁を抱える日本人・外国人双方の課題に応えるために生まれた。異文化理解・国際経験豊富・日々挑戦的なスタッフが揃うことが、Red Lookの最大の強みだ。

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NPO法人 Red Look

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