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外国人材はなぜ日本を離れるのか?データで見る3つの理由と、定着を支える方法

在留外国人の6割以上は「ずっと日本にいたい」と答えています。それでも仕事や日本を離れる人がいるのはなぜか。公的調査からは、キャリアの停滞、職場の暗黙のルール、職場の外での孤立という3つの理由が見えてきます。受け入れる側ができることとあわせて整理します。

文:Eric(赤見悠太郎)NPO法人 Red Look 理事長公開: / 更新:
目次

結論から言うと、在留外国人の多くは「日本に住み続けたい」と考えています。それでも仕事や日本を離れる人がいる背景には、①キャリアと給与が伸びない、②職場の暗黙のルールが説明されない、③職場の外で孤立しやすい、という3つの理由があります。どれも本人の努力不足ではなく、受け入れる側の工夫で変えられるものです。

訂正とお詫び:この記事の以前の版では「外国人材の約35%が3年以内に日本を離れる」と書いていました。改めて確認したところ、この数字の一次情報(元の調査)を確認できなかったため、削除しました。以下の数字はすべて元の調査にリンクしています。(2026年10月6日更新)

データで見る「外国人材の定着」

2026年10月時点で確認できる公的な調査・統計は次のとおりです。

問い調査結果出典
日本に住み続けたいか「ずっと日本に滞在したい」62.6%、「10年程度」15.6%、「1年程度で帰国・他国へ」は 2.0%出入国在留管理庁「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査」(2025年10〜11月実施)
外国人留学生は日本人より辞めやすいか入社3年後の離職率が日本人新卒と「変わらない」58.2%、「高い」23.6%、「低い」18.2%(企業の回答)キャリタス「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する調査」(2025年12月調査)
そもそも日本人の新卒はどうか大卒の就職後3年以内の離職率は 33.8%厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年10月公表)
孤独を感じているか孤独感が「たまに」以上ある在留外国人は 53.3%(「しばしば・常に」5.7%)出入国在留管理庁「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査」

外国人社員の3年以内の離職率を直接測った公的な統計は見当たりません。研究者の論考では、「日本人の大卒と大差ないと仮定すると、3年以内に30%前後が離職することになる」という推計が示されていますが、これはあくまで仮定にもとづく数字です(鈴木伸子、日本学生支援機構『留学交流』2021年3月号)。

ここから分かるのは2つです。1つは、転職と「日本を離れること」は別だということ。3年以内の離職は日本人の若手にもよくあります。もう1つは、多くの外国人が日本に住み続けたいと考えていること。問うべきは「なぜ日本が嫌になるのか」ではなく、「住み続けたい人にとって、何が壁になっているのか」です。

なお、在留外国人の調査は、日本に1年以上住んでいる中長期在留者・特別永住者が対象です。すでに生活が安定している人が多く含まれるため、来日して間もない人は、以下の壁をより強く感じている可能性があります。

理由1:キャリアと給与が伸びない

日本で働く外国人正社員500人への調査では、職場への不満の上位はキャリアに関するものでした。

  1. 昇進・昇格が遅い(28.6%)
  2. 給料が上がらない(28.2%)
  3. 給料が安い(25.6%)
  4. 明確なキャリアパスがない(23.8%)

出典:パーソル総合研究所「日本で働く外国人材の就業実態・意識調査」(2020年)。経済産業省「高度外国人材研究会 報告書」(2024年7月)より

経済産業省の報告書は、その背景として日本企業の「メンバーシップ型」の雇用管理を挙げています。新卒一括採用、OJT、社内異動で人を育てる仕組みは、専門性を高めながらキャリアアップしたい人には魅力的に映りにくい場合があります。同省のヒアリングでも、キャリアアップや希望する職務を理由に離職した外国人社員がいたという声が複数の企業からありました。

受け入れる側にできること:評価や昇進の基準、次の役職に必要なスキルを、入社時に言葉で説明しておくこと。

理由2:職場の「暗黙のルール」が説明されない

日本語ができることと、日本の職場文化が分かることは別です。会議で発言するタイミング、悪い報告をする速さ、断り方、遠回しな言い方——多くは明文化されていません。

上のパーソル総合研究所の調査でも、15.8%が「暗黙の了解が理解できない」と答えています。企業側の調査では、外国人社員の活用の課題として「社内での日本語コミュニケーション能力の不足」(58.4%)、「文化や価値観、考え方の違いによるトラブル」(38.7%)、「外国人社員を活用できる日本人管理者の不足」(30.1%)が上位に挙がっています(キャリタス、2025年12月調査)。

求人票の「N1必須」も、業務に本当に必要な水準なのかを見直す余地があります。実務に必要以上の日本語要件は、活躍できる人の入口を狭め、適応の負担を本人だけに背負わせることになります。

理由3:職場の外で孤立しやすい

退職理由として表に出にくいものの、暮らしの中で大きいのが孤立です。来日直後は、相談できる人も、同じ立場の仲間も、気軽に話せる場もないことが少なくありません。

出入国在留管理庁の調査では、在留外国人の 53.3% が孤独を「たまに」以上感じていると答えています。内閣府が日本全体を対象に行った調査(2025年12月実施)では 37.7% でした。別々の調査なので単純には比べられませんが、Red Look のイベントで聞く声とも重なります。職場の外のつながりは、住み続けられるかどうかに関わります。

相模原のワークショップで聞いた声(2026年9月)

2026年9月6日、相模原市の後援で相模原グローバルフューチャーセッション2026を開きました。行政・企業・大学・市民の参加者が書いたワークシートから、職場に関する声を紹介します(個人名は載せていません)。

立場の違う参加者がテーブルを囲んでグループで話し合う様子 相模原グローバルフューチャーセッション2026のワークショップ

  • 外国人社員が職場の外で孤独・孤立を感じているのではないか、という懸念が複数あった
  • 日本語がまだ十分でない社員に教えようとすると、教える側の日本人社員が先に疲れてしまう
  • 「失礼かもしれない」という遠慮から、説明が足りなくなることがある
  • 「仕事の日本語」と「生活の日本語」の両方が必要

また、多くの参加者が「迎える側の日本人にも、国際的な経験や対等に出会える場が必要」と話していました。定着は、外国人側だけの課題ではありません。

定着を支えるために、受け入れる側ができること

  • 暗黙のルールを言葉にする(報告の仕方、会議、評価、昇進の仕組み)
  • 日本語要件を、業務に本当に必要な水準に合わせる
  • キャリアパスを見える形で示す
  • 新しく来た人だけでなく、教える側の日本人社員も支える
  • 社内だけでなく、地域とのつながりをつくる手助けをする

企業・団体の方向けには、企業・団体の方へのページで取り組みを紹介しています。

よくある質問

外国人は日本を離れているのですか?

日本を離れるつもりの人は少数です。出入国在留管理庁の令和7年度調査では、在留外国人の62.6%が「ずっと日本に滞在したい」と答え、「1年程度で帰国・他国へ」は2.0%でした。転職はありますが、転職は日本人の若手にもよくあることです。

外国人社員の離職率は日本人より高いのですか?

一概には言えません。キャリタスの調査では、外国人留学生の入社3年後の離職率について、58.2%の企業が「日本人新卒と変わらない」と答えています。

外国人社員の孤立を防ぐには、何から始めればよいですか?

職場の外で、日本人と外国人が対等に話せる場につなぐことです。社内の交流会だけでなく、地域のイベントや言語交換のように、仕事の上下関係がない場が役に立ちます。

在留資格や就労のルールについて知りたいときは?

制度は変わることがあるため、出入国在留管理庁の情報や、行政書士などの専門家に確認してください。

出典

いずれも2026年10月6日に確認しました。

まずは、職場の外で出会うことから

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この記事を読んだ方へ

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Eric(赤見悠太郎)

NPO法人 Red Look 理事長

カナダ・ドイツ・日本で国際コミュニティを立ち上げ、運営してきました。2025年に NPO法人 Red Look を設立し、理事長を務めています。

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